熱血 パーサー乗務録
地上1万メートルの危機管理「エッ、ウソ、ホント?」
国際線2万6千時間の熱血乗務員が体験した笑いと感動、
痛快、恐怖の裏側を覗いてみる?
飛行機の豆知識も満載!
「JAL再生へのエール」
西日本新聞社発行
今日は、BOOK REVIEWを書いてみようと思います。
このようなものを書くのは、小学校の夏休みの宿題「読書感想文」以来でしょうか。
まずは、作品の著者である田中元一さん。
JALの客室乗務員として35年間勤務され、その間、首相フライトを担当された他、様々な貴重な経験をされてきたそうです。管理職としてスチュワーデスの面接試験を担当されたこともあるそうです。
今もその経験を生かし、お住まいのある福岡県で「田中塾」を主宰され、次世代を担う若者達の教育に励んでいらっしゃいます。
私が、飛行機への好奇心を満足させていただいているサイト「週刊 飛行機ダイスキ!」でも風天マンさんとして数々のエピソードが掲載されています。
毎回、楽しみに拝読させていただいています。ここでの風天マンさんの形容詞は、ハチャメチャ、破天荒、熱血、正義感。
先週、この本が自宅に届いたのですが、見開きを開くと著者 田中さんのサイン付きです!ちょっと嬉しくなってしまいました。(田中塾の肩書きの名刺も頂きました!)
この本は、自宅で読むにはもったいない。やはり飛行機の見えるアソコで読もう!と思い立ちまして羽田空港へ行ってまいりました。展望デッキで、ジェット燃料の燃える匂いを嗅ぎながら、離着陸の音を聞きながら…
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風天マンさんとして抱いているイメージから、結構ハチャメチャな出来事をご披露いただきながら、サブタイトルにある「危機管理」をテーマにしたお話へと展開されるものと想像しておりました。
ハチャメチャで熱血正義感のあるお話は、胸がスーっとして気持が癒されます。
しかし、本著にハチャメチャは出て来ません。熱血正義感はデンと鎮座されてます。ですから、誰かをやっつけちゃうとかいう類のお話は、今回はオアズケです。(失礼しました。)
大変です。変なお客さんがいます。ハイジャック事件です!
すっかり気分は地上1万メートルの上空。風天マンさんの脇で事件の一部始終を見ている雰囲気にさせられます。このような、実体験に基づく書籍は当たり前の日常を綴ってみても、日記にしかなりません。やはり、読者は普段は経験することが出来ない日常ではない異常を楽しみにしている側面は否めません。そんな読者の心理を、この章で鷲づかみにされてしまいます。
緊迫感あふれる機内でハイジャック犯と対峙し、解決へと導く著者の危機管理能力に感心させられてしまいます。また、心温まるエピソードでこの序章が幕を下ろすところには、著者の人間性が表現されているのではないでしょうか。私までやきとり屋で“いっぱい”やりたくなりました!
あたしにはCAは無理ね… |
お仕事の説明には実体験が添えられており、読んでいて飽きがきません。「トイレの落し物」「サービススピリッツ」「土下座の強要」。ここでも、ある種の異常な出来事を題材にしているからでしょうか。CAが転職先で成功するのも納得の説明です。皆さん、優秀ですね!
ここで、著者がJAL就職の際のエピソードが紹介されておりますが、すごいですね~、田中角栄さんとのお付き合いも合ったんですね~。ゾクゾクするお話でした。
「JALの乗務員は民間外交官だから、日本人の誇りを持って、そのつもりで頑張れ」との角栄さんのお言葉を頂いたようですが、当時の田中さんの心に突き刺さっただろうな~
著者はこの言葉が仕事をする上での指針のひとつになっているそうです。
私も技術者として日本の最先端技術の一翼を担うものと自負しておりますが、日本人としての誇りはとても大事なものだと思っています。
22歳の若者にかける励ましとして最高のお言葉を頂いたんですね。
あたしの危機管理=歩かない! |
一つは「サービス要員」としての「対人関係スキル、コミュニケーション能力」
一つは「保安要員」としての「危機管理能力」
冒頭のハイジャック未遂事件で、著者の危機管理能力のすごさを見せ付けられております。素直にうなずけます。
危機管理能力は習得する機会があっても、体得する機会があっては問題です。全員が最低限の能力を身につけることはマストでありながら、その能力のアップは習得だけでは難しいようです。危機管理能力として必要な5つのステップ。自分自身と比較して、大いに納得できます。
サンフランシスコへの緊急着陸:エマージェンシーランディング(エマランと言うのだそうです)や、続く章でのエピソードの中に危機管理術が見えてきます。
旧ソ連、スパイ嫌疑で拘束を受けた際には、鬼気迫る中でも最後まで正常心を保ち、自らが判断することの大切さを教えられます。空手の呼吸法も正常心を保つ上で役にたったそうです。
「NEVER!」この言葉が無かったら、どうなっていたのでしょう?
あたしもファーストクラス乗りたい! |
ホスピタリティーとは無償の奉仕愛のようなものであり、心を込めて相手の心に寄り添うサービスとのこと。日本語には良い言葉がありますね~、「心を込めたおもてなし」でしょうか。しかしながら、サービスを受ける側にも受けるなりの作法がある。
まさに、このもてなす側ともてなされる側のバランスが取れているのがファーストクラスなんでしょうね。
私は、ファーストクラスとは成功者が搭乗するクラスだと思っています。その成功者の方々との会話を通じて、著者も多くのことを学んだそうです。
私見では、成功者の多くはおもてなしをする方の気持を汲むことに長けていると思います。人の気持を汲むことができる能力が、その人を高く押し上げるものと考えます。そのような成功者に対しておもてなしを実践してこられた客室乗務員の方々への賛辞が、自らの成功談や失敗談であり、著者にとっても自らを高みに上げることにつながっていたのでしょう。
成功者から学ぶべきことを学んできた人間の力。そんなものを感じました。
土光敏夫氏、大屋政子さん、藤村祐子さん、筑紫哲也氏、勝新太郎、田宮二郎、高倉健といった著名人とのエピソードが添えられています。非常に感心させられます。
Very Important Passenger フライト。VIPフライト。
著者の35年の経験の中で、鈴木善幸首相(当時)のフライトを担当されたことがあるそうです。残念ながら、著者の夢であった天皇陛下の特別便を担当する機会は巡ってこなかったそうですが、一番の思い出の一つとのこと。
特別便の担当になるのは、ものすごい確率が低いようです。なろうと思ってなれるものではないようです。また、VIPフライトって事前準備が大変なんですね~。こと細かに述懐されています。
大事にされている乗務日誌を紐解いてご紹介いただいたようです。
勤務経験の中から、天職の操縦職人、小沼CAPをご紹介いただいていますがとても心温まるお話です。小沼CAPとはドバイのハイジャック事件で機長をされていた方とのこと。小沼ご夫妻の仲の良さ、温かさ、そして操縦にかける意気込みなどが伝わってきます。
ラストフライトでランディングギアへ…
少しアカデミックになって疲れた頭に、温かい栄養が流れ込んでくるようなエピソードですね。
面白い本でした!おやすみなさい… |
自らを楽天的(良い面を前面に)と捉えていると言うくだりがありますが、別の箇所で、著名人の多くが楽天家ともおっしゃっています。なるほど、必要なスキルだ!と私自身素直にうなずいています。
人間学をきちんと学び、いつかファーストクラスに乗れる人間に成長したいものです。
末尾にご自分の様々な経験を生かした「部下の育成手法」が記述されてます。本著では“さわり”のみの記述となっていますが、ここからもたくさん学ばせていただきます。
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BOOK REVIEWはいかがでしたか?
ワンコのブログにお堅い話で恐縮でしたが、是非、書きたいと思う作品だったもので。
私のブログタイトル名「柚冬(ゆふ)から学べ!」には、生後3ヶ月のパピー犬からいかに多くのことを学ばせてもらっているか!という思いが込められています。
パピーから学び、成功者から学び、いずれも、人間力の向上につなげたいという思いに一致している部分があり、ご紹介させていただきました。本ブログでも、ゆふを通じて勉強させられる「部下の育成手法」なるものを随時掲載してみたいと思っております。
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TOMEさま、コンニチワ。
返信削除「熱血パーサー乗務録」を書いた風天マンです。
私の文章の行間まで読み起こしていただき、嬉しいやら恐縮するやら、素晴らしい読書感想文をありがとうございました。
今日、拙著を読んだ方から連絡を戴きました。
実はその方は母校の大学の広報担当者だそうで、大学の広報に掲載してもいいかという問い合わせでした。
また、私が長く乗務員の採用面接官をしていたことから、学生さんの就職活動、とくに面接のポイントを講演してもらいたいというありがたい申し出でした。
私自身が微力ですが自分の役割は「次代を担う若者を応援する」ことで、私塾を開講しているので、お役に立てればと思ってお受けすることにしております。
Tomeさんの素晴らしい読後感のコメントでエネルギーを戴き、講演もやってみる気持ちになりました。
心より感謝申し上げます。
風天マン様
返信削除コメントいただきありがとうございます。
私が、ブックレビューを書いてみようと思うきっかけを与えていただいたのは風天マンさんです。
本当に小学生依頼ですよ!
今まで、飛行機への興味からパイロットさんが書かれた本は多数拝読させていただいたのですが、飛行機への好奇心と人生勉強と、2度美味しい思いをしたのは今回が初めてです。
母校での講演、これほど名誉なことは他にないと思います。存分に、弁を振るってください。
おめでとうございます。
これからもご活躍をお祈りしております。